vol.2 冬を科学映画する!

2004年12月12日(日)
14:00〜15:30 上映


『霜の花』
1948年/20分/白黒/ビデオ版上映/
製作:日本映画社/企画:北大低温科学研究所/指導:中谷宇吉郎・花島政人/
撮影:吉野馨治・吉田六郎・小口禎三/音楽:伊福部昭/解説:徳川夢声

【ニッポン科学映画、氷点下から衝撃の復活!】
戦後日本の科学映画は、低温の世界から復活を告げた。のちに岩波映画
結成する名スタッフが、ガラス面の水蒸気にひたすら目を凝らして“窓の霜”
の解明に挑む。微速度撮影にみごとに寄り添う若き伊福部昭の神秘的な
メロディは、観る者を忘我の境地に誘うだろう。


『北方の霧』
1948年/15分/白黒/ビデオ版上映/
製作:日本映画社/企画:中央気象台/プロデューサー:吉野馨治/
演出・脚本:竹内信次/撮影:小口禎三

【哀愁の町に霧が降るのだ】
北海道東部に現れる“海霧”に迫った力作。気球上(!)から撮影したと
思われる、純白の霧がサーッと陸地を覆ってゆくショットが圧巻!
また、霧の容赦ない襲撃を人々の生活に結びつけた戦後調の解説も印象的。
よく見ると夏の映画ですが、冷気みなぎる作品なのでお許しを。


『たのしい科学 雪の結晶』
1958年/14分/白黒/16mm上映/
製作:岩波映画製作所/企画:八幡製鉄
プロデューサー:吉野馨治・渡貫敏男/演出:伊勢長之助/
脚本:花島政人/撮影:広川朝次郎

【雪は科学映画の永遠のアイドルである】
どれもこれもブローチにして身につけたい、雪の結晶のオンパレード。
六花形だけではなく、十二花形や柱状の結晶もキュート!
1950年の同名作品につづいて、岩波映画が雪の結晶の撮影に挑んだ
「たのしい科学」シリーズの一篇。人工雪発生装置もついに登場します。


『SNOW CRYSTALS』
1939年/13分/白黒/ビデオ版上映/
製作:東宝文化映画部/提供:日本郵船/指導:中谷宇吉郎
撮影:吉野馨治/撮影助手:小口禎三

【SNOW CRYSTALはHEAVENから送られたLETTERである】
昭和14年、“雪博士”中谷宇吉郎の研究を初めてシネマの眼がとらえた、
科学映画史の上でも記念碑的な一本。愛らしいアニメーションにも要注目。
英語ナレーション(無字幕)ですが、めったにない上映ですのでどうか
ご了承ください。


『科学するこころ 中谷宇吉郎の世界』
1995年/25分/カラー/ビデオ版上映/
製作:岩波映画製作所/企画:加賀市教育委員会
プロデューサー・撮影:関晴夫/演出・脚本:今泉文子/
撮影:星野欣一・田島正晴/ナレーター:井川比佐志

【「氷は金属である」と博士は言った】
石川県の「中谷宇吉郎 雪の科学館」のために製作された、中谷博士の伝記映像。
寺田寅彦の薫陶を受け、やがて北海道からアメリカへ、そしてグリーンランド
へと博士の研究は続く。押しつぶしても割れることなく、そのまま下にへこんで
しまう氷河の氷は、まさに驚きの被写体!


15:45〜 トークイベント
「科学映画の黎明期」
ゲスト;小口禎三氏(元・岩波映画製作所 会長)